東日本大震災と福島第一原発の事故は、様々な面で、今まで指摘されていなかった日本人や日本社会の特性を際立出せました。放射性能汚染にかかわる安全性の懸念から一部の水産物が忌避しようとする人が居る一方で、復興支援として被災地の水産物を積極的に購入しようとする応援買いのような行動も見られました。どちらも単独では人間一般にみられる不変的な行動ですが、これら相矛盾する行動をどのような人がどのように選択するのかは大変に興味深い問題です。まずは、どのような行動選択があったのか、選択に変化があったとすれば、何が選択に変化をもたらしたのか、その記録が必要でしょう。今回、水産物の購買行動に関するアンケート調査の分析結果が発表されました。この論文では、安全性という価値観と、社会に対する貢献という価値観が独立して存在することが示されましたが、そのような選択にかかわる個人の属性や性格的な傾向についての分析までは行われていません。この論文をきっかけに、さらに踏み込んで関連した研究がなされることを期待します。

Takashi Suzuki, Taro Oishi, Hisashi Kurokura and Nobuyuki Yagi (2019)

“Which Aspects of Food Value Promote Consumer Purchase Intent after a Disaster? A Case Study of Salmon Products in Disaster-Affected Areas of the Great East Japan Earthquake”

Foods 2019, 8, 14; doi:10.3390/foods8010014