それぞれの国がどのような経緯を経てどのような状態にあるのかというダイナミックな分析を考えてみました。視覚的で誰にでもわかるものが良いと思ったので、人口1,000,000人当たりの感染者数と死者数の散布図を時間順に線でつないでみました。いくつかのパターンが見えてきます。4つのパターンに分けてみました。説明図の青い線で示したのが、医療崩壊が起こらずに感染のピークが来て収束するというパターンです。感染者の内の一定の割合の人が死にますから、感染者の増加とともに死者の数が右肩上がりに直線的に増加します(説明図の下の右上がりの青い直線)。やがて感染のピークを迎えます。感染者のピークと死者のピークには時間的なずれがあるので、感染者が減少しても、しばらくは、死者の数が増加しますから左肩上がりの直線に変化します。やがて死者も減少して左下がりの直線に移行しますが、感染者の減少によって医療に余裕が出来ること、技術の向上等があって、かなり急激に左下がりに減少します。このパターンをたどった国は、日本、韓国、ドイツです。これらの国は医療崩壊が起こらなかったと言えます。ドイツは日本・韓国に比べて感染者数も死者数も多く、医療崩壊が完全に起きなかったかどうかについては疑問がありますが、周辺のフランス・イタリア・オランダ・ベルギー・ルクセンブルグに比べると、はるかに感染者数・死者数が少なく、ヨーロッパの中では医療崩壊が起こらなかった国と言えるでしょう。2番目のパターンは、感染者数が増加する過程で感染者数がピークを迎える前に医療崩壊が起きた国です。イタリア・スペイン・イギリスがそれにあたります。感染者の増加が急激で医療がそれに対応できなかったのかもしれません。3番目のパターンは、1日あたりの感染者の増加が高止まりしてピークが長引き、その間に医療崩壊する例です。感染者数を減らすために特別な対応をしていないスエーデンがその典型で医療崩壊しています。アメリカもこのパターンなのですが、アメリカ特にニューヨークはロックダウンしていますから、ロックダウンが完璧でないのかもしれません。アメリカは広いから、流行地が移動しているのかもしれません。4番目は、感染がピークを迎えた後に医療崩壊した国です。この典型はベルギーとフランスです。ベルギーでは、感染を一旦抑え込んだにもかかわらず、その後に医療崩壊が起きて、一時は1日当たりの死者の数が感染者の数を上回りました。地獄です。フランスでベルギーほどではありませんが、同じようなことが起きています。入院期間が長いので、感染がピークを迎えても、すぐに病院のベットが空かないからだと思います。クロスセクションに戻って、それぞれの国の各最適な位置づけを確認します。添付の表は主要国の感染者数・死者数を1,000,000人当たりで表したものです。これを見ると、ドイツの対応が優れているとか、韓国のドライブ方式の検査システムが優れているとか、ニュージーランドがどうしたとかいう人は、テレビ画面の印象に惑わされて、データを見ていないことがわかります。全く見当はずれの意味のない議論です。何が起きているのかしっかりと事実を確認した上で議論しないととんでもない間違った結論が出ます。有害です。注目しなければいけない事実は、ベトナム・台湾・日本・韓国など中国を含めて中国の周辺国とアメリカ・ヨーロッパの感染数や死者数に大きな違いです。中国のデータは信用できないとか(これに限らず中国の統計データは操作されているが、中国全体の動向を見ると感染は抑え込めている)、韓国ではあるところで検査数を減らしているとか(市中感染が減れば検査を受ける人の数が減るのは当然)、日本は感染者数をごまかすために検査数を絞っているとか(検査を増やしても感染者は減らないし、死亡者の数も減らないから、検査数を絞る戦略には一定の妥当性がある。韓国の死者数と比較すれば日本の方が死者が少ないのは明らかであり、その戦略は成功している。)、憶測で陰謀説のようなことを振りまく人がいますが、それもでたらめです。全体を見渡すと、圧倒的に地理的な違いが効いているのがわかります。これはおそらく注目すべき重要な事実です。これからの検討課題は地理的違いの内容(日常的な中国リスクに対する耐性、ウィルスの株の違い、生活習慣、儒教的相互監視システム、医療体制等々)です。ロックアウトしたにもかかわらず、その効果がなかなか現れず、ピークアウトが遅れた国(イギリス・アメリカ)では、何故、ロックアウトに効果がなかったのか、医療崩壊した国の医療体制と感染者の増加速度にどんな関係があるのか。これらの分析が次の課題です。医療関係者、感染症の専門家だけでなく、機械学習などをやるデータサイエンティスト、社会学者、経済学者、そして素人等々が参加した方が良いでしょう。それぞれの国の散布図も添付しました。使ったデータは、COVID-19-Wikipedia(検査数・陽性数)とour world in data(死者数・時系列データ)から取得しました。

 

分析後の感想:アイスランド・台湾・ベトナムなど少数の例外的な国を除いて、どの国もどこかで対策を誤っている。特にほとんどの国で、ロックアウトなどのタイミングが遅かった。これは、我が国も同じで緊急事態宣言をもう1週間早く出していれば、人的・経済的被害もはるかに少なく収束に向かっただろう。ただ、その影響の程度は違い、大変悲惨なことになった国もある。結果の違いは、政策そのものよりも外的条件に左右されているように見える。我が国は幸運だったともいえる。もっとも罪が重いのはWHOで、パンダミック宣言の遅れ、比較的軽症の感染症だという情報、検査の無意味な強調(検査よりもマスクの方が効果が大きい)、これらがなければ、各国はもっと適切な対応が取れた。こういう場合、WHOの情報を頼りにしたり、依存したりするのではなくて、それぞれの国がそれぞれの立場で、独立国が持つ権利として、入国禁止したり隔離政策がとれるようにすべきである。