2月の末からフィリピンのNew Washingtonに行ってきました。主な目的は、Aklan Stte University, College of Fisheries and Marine Scienceの教育・研究体制の高度化のためのアドバイスをすることなのですが、もちろん、それと並行して、Pinamuk-anのエビ放流事業の推進をすることも目的の一つです。というか、エビの放流事業の一つの社会実験と考えて、その経過と効果を科学的に追跡して、それ自体を新しい研究として、その成果を世界に発信するというのが、大きな目的です。今回は、学生の卒業研究のテーマの発表会に参加して、アドバイスしたり、フィリピン大学など、やや格上の大学と共同研究する際に、どのように、共同研究を作るかという点について具体的にアドバイスしたり、日本から来た研究者に、学部の幹部に対して研究紹介をしてもらい。学生に対する特別講義もしてもらいました。そちらの方は、少しずつですが、着実に前に進んでいます。
残念だったのはエビ放流です。11月の時点では、フィリピンのBeurou of Fisheries and Aquaculture(BFAR)から、Southeast Asian Fisheries Development Center (SEAFDEC), Aquaculture Department (AQD)にウシエビの種苗放流実験を共同で行いたいということで、そのための中間育成用の池の提供も申し入れがありました。従来、借りていたNew Washing tonが所有する廃止養殖池よりもはるかに面積が大きく、放流規模を拡大するには、この流れに乗るのが、良いだろうと判断しました。また、フィリピン政府の後ろ盾があるということは大きなことです。AQDは従来から、技術的な検討も含めて、放流事業の主要なメンバーでしたし、昔から日本の研究者が専門家として派遣されて研究や技術開発の支援を行ってきましたし、職員のもたくさんの日本留学組がいます。現地の人間関係などにも詳しく、私たちとしては、どうしても欠かせないパートナーです。現地に足掛かりのない私たちとしては、責任をもって動いてくれる信頼できる機関が現地で動いてくれなければ何もできません。Hunet ASAは、そうした機関と連携して、知識・技術・情報を提供し、場合によっては、それらのプロジェクトが担うことのできない資金を負担することによって、現地の力でプロジェクトを成功させることを目指しています。そうした従来からの方針からしても、AQDとBFARのジョイントプロジェクトを立ち上げて、その活動を自由な立場から支援するという形を今回も目指しました。

話は順調に進んでいて、現在でもBFARは放流事業に強い関心を持っています。ただ、ここへ来て方針が変わったのは、フィリピン国内でBFARやAQDの研究に関与しているDepartment of Science and Technology(DOST)です。この共同研究を認めないと言ってきたようです。AQDは国際機関ですから、必ずしもDOSTの意向に従う必要はないのでしょうが、BFARはそうもいかないようです。背景に何か政治的な力が働いているのかもしれません。調べてみます。とにかく突然の方針変更で困ってしまうのですが、フィリピンではこういうことはあります。これに腹を立てても仕方がないので、次善の策を考えます。

もし、BFARが主体になるのが問題ならば、ASUが主体となって、共同研究を立ち上げるという手もありますし、日本で何らかの研究資金を得るという手もありそうです。ということで、一旦振出しに戻って、プロジェクトの体制から見直します。なお、現地の州の農業局の人とも関係が出来ました。こちらのルートもありそうです。従来は、4月に中間育成を始めて、5月に放流まで持っていければよいと考えていましたが、もう少し遅くなります。できれば7月末に放流できると、年内は成熟しないで河口域に残るので、来年、大型の個体になって漁獲されることが期待できますが、交渉相手のあることです。今年は放流できないかもしれません。それでも、ベースラインとして、放流のない時の漁獲状況の記録も取っておきたいと思っています。現在、Hunet ASAも含めて、そのための資金をどこから出すか協議中です。